マスター


バチバチくんに続き、ムズムズくんカユカユくんが私の元へ。

あぁなんてにぎやかな春。

 

花粉症になって10年以上。

ただのくしゃみだと否定する初々しい時期はとうに過ぎ去り、

くしゃみする人を見つけては「花粉症決定!」と脅しながら、

花粉症に生涯を捧げようと覚悟していた数年前、

私はマスターに出会いました。

 

仕事で行ったビルの警備のおじさんこそまさしくその人でした。

なんと!!そのおじさんは、

花粉症を乗り越えてしまったびっくり人間だったのです!

そう!マスターとは、

花粉症をクリアしたおじさんに私が勝手に与えた

尊敬と羨望が入り交じった称号なのです。

 

「花粉症はなる時と一緒で、何の前触れもなく突然治る。

『今年は症状出ないなぁ』とふと思った時にはもうに治っている」

 

しかし、そんなステキなミラクル、

にわかには信じられず何度もしつこく確認しましたが、

治ったと言い張る自慢げな花粉症マスター。

 

「利害関係のない私にそこまで言うのなら!」

 

花粉からの解放というまばゆいばかりの一筋の光りが

すうーっと私を照らし始めた瞬間でした。

私もマスターになってみせる!

次の年、希望に胸躍らせて花粉の飛散に挑んだ私でしたが…

また次の年、今年こそリベンジをと花粉に挑んだ私でしたが…

またまた次の年、花粉に胸を借りるつもりで挑んだ私でしたが…

 

毎年きちんとムズムズカユカユし始める律儀な私の体。

マスターへの道は長く険しいのです。多