唐津のジャック・マイヨール


 

 

フリー・ダイビングの鉄人ジャック・マイヨールについて、
映画「グラン・ブルー」以上のことはあまり知らなかった。

ただ、唐津に縁がある人だということくらいは知っていたが、
今日ドライブの途中立ち寄った唐津シーサイドホテルに
ジャック・マイヨール関連の記述や写真があって、
その関わりの深さに想いを新たにした。

ジャック・マイヨールはフランス人建築家の二男として
1927年に上海租界で生まれている。当時上海と長崎の間には
定期航路があり、ジャックの一家は毎夏 唐津の虹の松原で休暇を過ごした。

家族で避暑にきた彼が10歳の時に、唐津の海で素潜りをして初めてイルカに出会う。

このことが彼のフリー・ダイバーとしてのルーツになる。

晩年は、自然、海洋、イルカやクジラなど、いろんな分野で研究活動をしていて、

本気で将来人類が海へ帰る(水棲人間)ことの可能性を探っていたようだ(怪しい)。

そのジャックは実は、70歳すぎて自殺している。

それも、イルカのいる海ではなくて、海を見下ろす自宅で首を吊って!

なぜ、あれほど愛した海じゃなかったのだろうか?

彼の死は謎が多いと云われているが、
人は孤独に陥ったり追いつめられると、意外に弱い。
ジャックをよく知る人は「グラン・ブルー」に描かれた気難しく人と打ち解けないタイプではなく、

女性ともすぐ親しくなるような愉快で快活な男性という印象が強いようだが、

家族や近しい女性には、寂しがりやな孤独な内面を曝け出していたらしい。

普段、快活で愛想がいい人に限って、意外とあっさりと逝ってしまう。
特に何かを極めた人は、理想と現実の狭間で思い悩むのだろう。

ジャック・マイヨールの偉大さと、孤独と、自然に対する大きな愛。
一説によると、愛する人に去られたからだと云う人も。
イルカに生まれ変わるために、人間の殻を捨てたのだとも。

真実は、分からない。